オーバースペックについて考える
住宅価格の高騰が進んでいるにもかかわらず、住宅の高性能化も止まるとことなく進んでいます。
実際「行き過ぎなんじゃない?」と考えられている方も少なからずいらっしゃると思います。
そして、どこの住宅会社に行っても、性能の話は同じようなものばかりでいまいち違いがわからず、結局のところ担当営業との相性で住宅会社を決めてしまっている方も多いのではないでしょうか。
お客様が最高の形で暮らしていく為の住宅性能をご提案することは、住宅のプロとしては当然のことかと思いますが、お客様にとって本来必要性の少ないスペックを売りにしている住宅会社も存在します。
家のことを考える前に、まず今お持ちの家電製品で考えてみましょう。
テレビ・ブルーレイ・洗濯機・掃除機・冷蔵庫・電子レンジ等。
高性能に惹かれて高価なものを購入したものの、その性能をほとんど使っていないままの家電製品ってありませんか?
例えば、全館空調システムを導入するには200万円~300万円はかかります。
全館空調システムは体感したら「これ欲しい!!」となりがちなアイテムですが、「長崎で暮らしていくご自身や家族にとって本当にそれが必要ですか?」「家より先に確実に製品寿命がきてしまい、将来的にさらにコストがかかるということについて考えていますか?」
床暖房についても同じようなことが言えますね。
以前からもお話ししているように、無駄な廊下や階段をなくすことで、建物内で空気が循環し、全館空調システムに近い効果が得られます。こうすれば、200万円~300万円初期費用、光熱費、メンテナンス費、経年劣化による更新費が不要となり、廊下や階段をつくるコストもかからなくなります。
気密・断熱性能についていえば、そこは装置とは違って途中で家より先に製品寿命がくるようなものではないので、なるべく気密・断熱性能は高いほうが良いかと考えます。
ですが、こだわりすぎはよくありません。性能アップとコストアップのバランスを見極めることが大事です。(低コストでできる範囲の気密・断熱性能アップであるのであれば積極的に取り入れていいと思います。)
現在の住宅業界は、そのお客様に本来必要でないかもしれない住宅性能を付加し他社との差別化を図ろうとしています。もちろん低スペックより高スペックのほうが住み始めた時の満足度は高いと思います。しかし、住み始めてから10年・20年が経過したときに、結局ほとんど使っていない性能、満足度のわりにコストのかかりすぎる性能を目の前にして、嫌悪感に陥っているかもしれません。
価格が高騰している今、「自分たちにとって本当に必要な性能は何か?」「その性能がなければどれだけ満足度が下がるか?」「家より装置のほうがはるかに先に寿命を迎えるけど本当にその装置をつけて大丈夫か?」そのあたりをよく考えないといけません。
結論としては、家はなるべくシンプルに建て、もし住み始めてから不足していると感じるところがあれば、後から必要な分だけ付け足していけば良いのではと思います。